壁際で映画を見た想い出 [LAの映画祭参加]
スクリーンに向かって左側の壁際。
僕はそこに立って、「青い青い空」を見るLAの観客の反応を見つめていた。
あっ、そう言えばこんなこと。昔もしていたな・・。
思い出した。
そう。留学時代。
サンタモニカの名画座ニューアートで、黒澤明特集を見たときのこと
同じように壁際に立ち、スクリーンと観客の両方が見られる位置にいた。
黒澤映画は日本で何度も見ている。
当時まだビデオにはなっていなかったが、名画座で繰り返し見ていた。
なので、日本の観客の反応と、アメリカ人の反応の違い
知りたくて、観客の表情が見える位置に立って映画を見た。
一番、面白かったのが、「椿三十郎」
最後の三船敏郎VS仲代達矢の対決シーン。
長ーーーーーーーーーい。沈黙の末に、ドバーーーーーーーー!というあそこ。
アメリカ人観客。食い入るように画面を見つめる。
中には指を加えて見ている人までいる。
そして、ズバーーーーーーー!と血が噴き出すと
観客が飛び上がる。そしてわき上がる声
「Ohhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhーーーーーーー!」
東京以上の反応だった。
でも、時代劇だから受けたのかも?と 現代劇も見た。
「生きる」
通夜のシーンとか凄い。
観客は皆、観客ではなく。通夜の慰問客の1人になっていた。
そして、ラストは拍手喝采。
幕が閉まっても、涙ぐんで立ち上がれない客までいた。
アメリカ人にウケるシーン。ウケないシーン。
いろいろと感じた。
(つづく)
やはり書道には興味深々! [LAの映画祭参加]
真子(相葉香凛)みさと(草刈麻有)が書道教室を覗くシーン。
ここでもミチル(平沢いずみ)による書道説明
観客は真剣に聞いている。
さて、このあと。注目の台詞。
「外国人てバカだよね〜」
真子のセリフ。
「これって外国人が聞くと、ムッとするんじゃないですか?」
日本でそう言われたことがある。
でも、そうはならないはず・・・と思いつつも不安。
反応は?
笑い声が起こった!
よし。想定通り。怒らずに笑ってくれた。さらに
ミチルが筆文字の半紙を見せる。「愚者」
ここでも笑い声。
出演者が半紙に書かれた文字を見せる部分
日本でも毎回ウケたが、アメリカでもウケてた。
反応を見ていると、日本で笑いが起こったシーン
アメリカ人にも全てウケている。
書道シーンに興味を持つだけでなく、物語も楽しんでくれているようだ。
(つづく)
「青い青い空」LAでの反応は? [LAの映画祭参加]
さて、「青い青い空」LA上映がスタートした。
僕は観客の顔が見える壁際に立って、反応を見つめる。
オープニングは富士山。
ミシェル演じるデビー先生のモノローグでスタートだ。
アメリカ人観客。日本の象徴MtFujiの登場で
まず、「oh!」という顔。
日系人の方々は「あ〜富士山だ・・」という懐かしい顔。
物語がスタートしても、皆、画面に食い入るようにしている。
駅シーン。八代先生(波岡一喜)登場。
不良軍団との対決。観客ワクワク!という顔。
八代先生。2度目の登場。臨時教師として体育館で大字を書く。
書道のシーンなのに、観客は何か伝統ある儀式や
日本刀による演舞を見ているような、興味津々という顔で見つめる。
やはり、日本の伝統文化に対する注目度は高い。
では、書道以外の部分はどうか?
上映は続く!
(つづく)
いよいよ!上映スタート。 [LAの映画祭参加]
読者のみなさんで、
「青い青い空」を見てくれた方
この先の報告は、手に取るように分かるはず。
「なるほど、なるほど!」「そうだったと思った」「えーーそうなの?」
そんな感じで楽しめる
でも、残念ながら見ることができなかったという方
分かりにくいと思うので
アメリカ版の予告編を紹介する。
これを見てもらってから、ブログを読むと多少は分かりやすいはず。
よろしく!
LAで舞台挨拶。英語でスピーチ [LAの映画祭参加]
映画祭のスタッフの方
まず、ステージに立ち、挨拶。そして、
「『ブルーブルースカイ』ディレクター・ミスタータカフミ・オオタ!」
と英語で呼ばれて、僕もステージにあがる。
マイクを渡されて、英語でスピーチだ。
「Hello I am a director of Blue Blue sky」
そして、高校時代からアメリカ映画が大好きだったこと。
ローリング・ストーンズやブルース・スプリングスティーン
をずっと聴いていたこと。
映画の勉強に留学。USCの映画科で学んだこと
そういって着ていたジャケットの前を開き
中のスエットに描かれたUSCの文字を見せる。
観客の多くは、微笑み。
「ああ、この監督はLAで学んだのかぁ〜」
そんな親近感あるリアクション。
スピーチを続ける。
「After that I went bac to Japan. and became a movie director!
そして作ったのが、この「青い青い空」です。
題材は日本の伝統文化、書道。
だから、この映画は僕が大スキなアメリカ映画の伝統と
日本の文化がミックスアップされた作品。
きっと皆さんは興味を持って頂けると思います。
Enjoy the movie! thank you!」
観客から大きな拍手が起こる。
たくさんの笑顔が見えたので、スピーチ内容は伝わったはずだ。
よし!
ついに、上映開始だ!
(つづく)
まず、ステージに立ち、挨拶。そして、
「『ブルーブルースカイ』ディレクター・ミスタータカフミ・オオタ!」
と英語で呼ばれて、僕もステージにあがる。
マイクを渡されて、英語でスピーチだ。
「Hello I am a director of Blue Blue sky」
そして、高校時代からアメリカ映画が大好きだったこと。
ローリング・ストーンズやブルース・スプリングスティーン
をずっと聴いていたこと。
映画の勉強に留学。USCの映画科で学んだこと
そういって着ていたジャケットの前を開き
中のスエットに描かれたUSCの文字を見せる。
観客の多くは、微笑み。
「ああ、この監督はLAで学んだのかぁ〜」
そんな親近感あるリアクション。
スピーチを続ける。
「After that I went bac to Japan. and became a movie director!
そして作ったのが、この「青い青い空」です。
題材は日本の伝統文化、書道。
だから、この映画は僕が大スキなアメリカ映画の伝統と
日本の文化がミックスアップされた作品。
きっと皆さんは興味を持って頂けると思います。
Enjoy the movie! thank you!」
観客から大きな拍手が起こる。
たくさんの笑顔が見えたので、スピーチ内容は伝わったはずだ。
よし!
ついに、上映開始だ!
(つづく)
日本人のスピーチは退屈?(下) [LAの映画祭参加]
ケネディ大統領の就任スピーチ、感動的だった。
「Ask not what your country can do for you .
ask what can you do for your country」
様々なアメリカンの名演説の中あで、僕が一番好きなのは
公民権運動家マーティン・ルーサーキングが
暗殺される前に行ったスピーチ。
「I have a dream last night」
から始まるもの。感動もので鳥肌が立ち、涙が零れる。
アメリカは歴史に残る人物は皆、素晴らしいスピーチを残している。
他民族国家アメリカ。
「言わなくても分かるよね?」発想はない。
日本では「不言実行」と言われるが、アメリカでは「有言実行」が大切。
やはり、言葉によって気持ちを伝えることが重要なのだ。
現大統領のオバマも、有名なフレーズがある。
「Yes We can」
アメリカ人のスピーチを聴いていると、ロックコンサートの乗り。
「オーーイェーーーー!」という感じ。
それが大切なのだ。
日本的なスピーチをしても伝わらない。
「本日はお越し頂き、まことにありがとうございます。
ご紹介に与りました私が監督の太田です・・」
とか日本風の挨拶をしても、伝わらない。
「日本人って感情が伝わらなく、よく分からない」ということになる。
「来てくれて、ありがとう! サンキュー!」
やはり、ロックコンサートの乗りだ。
うまく行くかどうか?分からないが、本日のスピーチはそれで行く。
「Yes I can!」
(つづく)
日本人のスピーチは退屈?(上) [LAの映画祭参加]
日本でスピーチというと、思い出すのが結婚式。
「友人である新郎。**君は大学時代より優秀な成績で」
とか、まじめに同じトーンで語るのを思い出す。
或いは総理大臣の就任スピーチ。
こちらはさらに真面目。途中で退屈する。
けど、小泉総理のときは凄かった。
ケネディ大統領を彷彿とさせる演説。
在任中、ずっと支持率が高かったのも納得だ。
だが、日本人がスピーチをすると、
だいたいは堅苦しく、聴き辛いものになりがち。
映画の舞台挨拶だって堅苦しいものが多い。
特に詰まらないのが監督のスピーチ。
舞台で俳優と並ぶと、それでなくても見栄えしないのに
真面目腐った顔で、
「えー、今回の映画のテーマは・・現代社会にありがちな側面を・・」
テーマは映画で語れ!と思ってしまう上に、
抑揚なく、ダラダラ話す。
そんな話を観客にしてどうするんだ!とか昔から思う。
「いつか監督になったら、楽しいスピーチをするぞ」
と思っていたので、
太田組作品の舞台挨拶はスペシャルだ。
役者たちとも事前に打ち合わせ。観客が楽しんでもらうものにする。
だから、今回も真面目な話をダラダラする日本的スピーチだけは
「絶対に、やるまい!」と思っていた。
特にアメリカはスピーチが大切。
先にも書いたが、ケネディ大統領の就任スピーチなどは感動的だった。
(つづく)
開場。まもなく上映! [LAの映画祭参加]
前の回の映画が終わり、観客が出て来る
次の回(青い青い空)を待つ、観客が場内へ入って行く。
日系人、日本人が一番多いが、
ヨーロッパ系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人。
南米系のアメリカ人の観客も結構いる。
10代から70代くらいまで、年齢層も様々。
日本を懐かしんで来たと思える日本人のおばさん
日本文化に興味があるアメリカ人男性。
若い白人女性のグループ。日系人のお年寄り。
いろんな人たちがいる。
間もなく、「青い青い空」の上映開始だ。
あっ、その前にスピーチをせねば・・。
(つづく)
ランチは日本の弁当! [LAの映画祭参加]
昼になり、弁当を頂いた。
ありがとうございます。
リトル東京で買ってきた弁当。
麻婆ナスと炊き込みごはん。
何だか、LAにいるような気がしない。
しかし、大学時代を送ったLAで
いよいよ自分が監督した作品が上映されるのだ。
先にも書いたが、
LAで映画作りを学び。日本で監督になり。
作った映画を持って、LAに戻って来て映画祭で上映する。
いろいろと感じるものがある。
そして、何かひとつの長い長い物語の完結編のような気も・・。
20年続いたエピローグを見つめているように感じる。
間もなく、前の回の上映が終わり
次はいよいよ、「青い青い空」である。
(つづく)
「青い青い空」はオーケストラ? [LAの映画祭参加]
書家であり、ミュージシャンであるS先生。
「青い青い空」を見て、以前こんな感想をくれた。
「この映画は三重奏、四重奏になっているんだなあ。
映画というより音楽に近いんだよ」
これを指摘してくれたのは、この先生しかいない。
でも、それは狙っていたので、とても嬉しかった。
分かってくれる人がいて、感激。
そう、「青い青い空」は物語でありながら、
ジャズやクラッシックのような形態を取っている。
通常、映画というのは理屈によって作られて行く。
主人公を視点として、起承転結の展開があり、
階段を登るようにエンディングに進む。
だが、「青い青い空」は少し違う構成だ。
そのせいか?よく「誰が主人公ですか?」と訊かれた。
が、必ず「5人が主人公です」と答え。この言い方にこだわった。
そう。「青い青い空」は従来の映画とは違う
音楽のスタイルを持ち込んだのだ。
例えれば、オーケストラ。
真子がピアノ。みさとがバイオリン。
三美子がピッコロ。トン子がクラリネット。ミチルがサックス。
卓也がトランペット。八代先生がドラム。
あるときは真子のピアノが主旋律を弾くが、
別の楽章では、みさとのバイオリンが主となる。
ときには、ピアノとサックスの掛け合い。
そして、思いもかけないところで、
三美子によるピッコロの独奏。
さらには松坂慶子さん演じるオカンによる、ハープが入り
長門裕之さん演じる和尚の、コントラバスが参加。
より魅力的なアンサンブルとなる。
それが足し算ではなく、かけ算になり、曲を広げて行く。
掛け合うことで、うねりが起こり、喜びや悲しみが増幅されるのだ。
ジャズやロックライブ。基本の曲を守りながら、ある部分でアドリブが入り
ピアノとトランペットが掛け合い。盛り上がる場面がある。
それを映画でやりたかったのだ。
象徴的なのが映画の後半戦頭の「書と音楽のコラボ」シーン
音楽に乗せて書道練習をするシーン。まさにオーケストラ。
そんな意味で「青い青い空」は
音楽的!と指摘してくれたS先生の言葉。
二ヒヒ!と喜んだものだ。
さて、そんな作品。LAではどう見られるのか?
会場の外では開場を待つ人たち、どんどん増えていた。
(つづく)