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ミチル/青い青い空以前の物語 ブログトップ

ミチル/「青い青い空」以前の物語(7ー終)八代先生 [ミチル/青い青い空以前の物語]

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 ミチルはため息をつく。

 真子とみさとが入部するだけのことがあり、

 書道部の顧問教師も最悪だった。

 先に臨時教師で来た八代という奴。

 体育館で大字を書いて、書道部員を募集した。

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 書道を愚弄している感じがする。

 「やはり、この学校は面白くないな・・」

 その日も実験室に行くと、袴田先生がこういう。

 「ミチル。書道部、今日からスタートらしいぞ!」
 
 「興味ありません・・」

 「ミチルは書道得意だろ? 見に行こうぜ!」

 放課後、書道部を見に行った。

 八代というヤンキー先生。

 書道とは呼べないこと。教えている。

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 相変わらず、この学校は面白くない。

 デビーがやってきた。喜んでいる・・・。

 これは書道とは呼べない。

 我慢出来ず、抗議してしまった。

 「八代先生。書道は前衛芸術とは違うので、

 ダンボールに書くのは違うと思います!」

 が、八代先生は変なことを言い出す。

 「まずは楽しんで書くこと。大切にしてもらいたんや!」

 よく分からないが、何かが胸に突き刺さる。

 いや、でも、こんなの書道じゃない。

 そう思っていると、袴田先生が笑顔でこういった。

 「ミチル。この学校も面白くなってきたな?」

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 高見沢ミチルにとって、新しい物語。スタートしようとしていた。


 (映画”青い青い空”へ、つづく)

 
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ミチル/「青い青い空」以前の物語(6)デビー先生 [ミチル/青い青い空以前の物語]

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 英語教師のデビー。

 日本文化に興味を持ち、英語教師の仕事を見つけ

 この学校にやってきた。

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 日本語はあまりできない。でも、ミチルにとって

 英語で話ができる友人となった。

 「Michiru Teach me about Japanese culture」

 デビーにとっても、ミチルは日本文化を教えてくれる案内人。

 すぐに仲良くなる。

 あるとき、ミチルがよく知る書道教室に連れて行った。

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 卓也の弟・コータも通うところ。

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 デビーに英語で書道を説明した。

 「This is sumi. first of all,we do like this」

 ふと見ると、クラスメートの真子とみさと。窓から覗いている。

 一番ムカつく2人だ。

 成績も悪く、クラスでもバカ扱いされているコンビ。

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 みさとは頭に来るとすぐ暴れる。

 男子でも殴り倒す。クラスメートからも危険人物扱い。

 おまけに芸能界志望というから始末に悪い。

 真子は殻にこもり、何を考えているのか?分からない子。

 日本人に多いタイプ、大嫌い。

 そんな駄目な2人。

 「書道なんてダサい」と話をしている。「愚者」としか言いようがない。

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 相変わらず、ミチルの口癖は同じ

 「この学校。面白くない・・」

 それが数日後、アンビリーバボーな事件が起こる!

 その真子とみさと、超駄目コンビが

 よりによって、書道部に入部したのだ!

 ありえない!?

 (つづく)

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ミチル/「青い青い空」以前の物語(5)土曜日の実験室 [ミチル/青い青い空以前の物語]

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 化学実験室。

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 覗いてみると、袴田先生が1人。

 CDを聴きながら授業の準備をしている。

 ミチル。声をかけた。

 「先生。ピンクフロイド・・・好きなんですか?」

 「おーーーー、そういう君は、ピンクフロイドを知っているの?」
 
 「ミチルです。名前で呼んでください」

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 「じゃあ、ミチル。ピンクフロイド聴くの?」

 「『ザ・ウォール』と「ダークサイド・オブ・ザ・ムーン』好きですから」

 「若いのにスゴイなあ・・・・・面白い子だね?」
 
 「でも、面白くありません。この学校は・・」

 それからミチルは休憩時間になると、実験室に行き。

 袴田先生と話をした。

 「先生、この学校、やっぱり面白くない・・」

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 毎回、そう言ってしまう。

 袴田先生、いろんな話をしてくれた。
 
 教師という仕事も大変。

 立て前ばかりの教師たち。モンスターペアレンツ。

 生徒を何人有名校に送れるか?

 それで採点される教師人生。

 だから、教師同士の付き合いを拒否。

 授業が終わっても、この実験室にいるのだ。

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 「何だか、私と似ている・・」

 そんなとき、アメリカ人の先生がやって来た・・

 (つづく)

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ミチル/「青い青い空」以前の物語(4)愚かな日本人 [ミチル/青い青い空以前の物語]

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 帰国したミチルは2年生の新学期から、浜松の高校へ編入。

 そして、意外な現実を知る。

 クラスメートたちは、自分の意見を持たない。

 アメリカでは信じられないことだ。

 真剣に勉強しないくせに

 成績に一気一優、生活している。

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 伝統ある日本文化をバカにして、

 見向きもしない。

 自分の存在が何なのか? 

 自分の意味は何なのか?

 考えもせず、女子は「男子」や「タレント」の話ばかり。

 「何て下らない人たち・・ 

 これが日本人なの・・・?

 これが伝統も文化もある、日本という国の現実なの!

 失望の連続。こんな国に生まれ育ったことを

 誇りにして、私はアメリカで生きて来たの・・」

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 同級生がバカに見えて、仕方がなかった。

 ある日、帰り道。クラスメートの男子が声をかけてきた。

 「ミチル! ボスのコンサートは行ったことある?」

 「ジャクソン・ブラウンは?」

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 若いくせに、古いロックをよく知っていた。
 
 「ニューヨークは行ったことある? どんな街?」

 「僕もいつかアメリカへ行って、ミュージシャンの勉強したいんだ!」

 そんなことを言う。でも、何か子供ぽい。

 彼の名前は卓也。

 弟にも子供扱いされるようだ。

 最初は「気があるのかな?」と思ったが、本命はクラスにいるようだ。

 ミチルもその気はない。

 けど、アメリカの話ができること。嬉しかった・・。

 家に帰るとお気に入りの一眼レフを持ち、あたりを歩く。

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 1人で撮影をしてまわる。

週末は舘山寺にあるおばあちゃんが経営する旅館

 広い部屋を借りて、書道練習。

 「友達なんていらない・・」

 むしろ、学校の休憩時間、教室にいるのは苦痛。

 程度の低いクラスメートの顔を見るのが嫌。

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 ミチルは1人で校内を彷徨った。

 あるとき、化学の実験室前を通ると、

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 ピンクフロイドの歌が流れて来た・・。

 それも「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」だ。

 「・・・誰が・・・聴いているんだろう?

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 こんな曲を聴く人。この学校にいるなんて・・」

 (つづく)

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ミチル/「青い青い空」以前の物語(3)書道、日本の文化 [ミチル/青い青い空以前の物語]

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 「どんなに英語ができても、どんなにアメリカ文化に詳しくても

 私はアジア人・・・東洋人・・・日本人なのだ・・

 アイデンティティを持つには、日本を見つめるしかないのかも」

 ミチルはあること思い出す。

 子供の頃に祖母が教えてくれた書道。

 「もう一度、やってみよう・・

 アメリカ人にできない何かをしたい・・」

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 クラスメートが本当の意味で、ミチルを認めたのはそれからだった。

 「ワンダフル! ミチル」
 
 「ワッカインド・オブ・アート・イズ・ディス!」

 もう、東洋人の顔をしながら、英語ができるだけの

 奇妙な存在ではない。

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 ミチルは感じた。

 「日本には素晴らしい文化がある。世界に通用する文化がある!

 それを伝えること。学ぶことで。私の意味がある」

 ハイスクールの途中で、父の仕事の関係で日本に戻る。

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 浜松の高校に編入した。

 ただ、そこに待っていたのは大きな失望。

 悲しい現実が待っていた・・。

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(つづく)

 
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ミチル/「青い青い空」以前の物語(2)マンザナール収容所 [ミチル/青い青い空以前の物語]

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 その日。ミチルが訪れたのは、小さな日本食レストラン、
 
 レストランというより、

 個人で経営するハンバーガースタンドのようなもの

 店内には客はいない。

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 料理をするのは日系人のおじいさん。

 日本風ハンバーガーを見つけたミチル。英語でオーダー。

 「Can I have teriyaki buger and ・・・」

 日系のおじいさんは言う。

 「日本語で話シナサイ。日本人ナラ日本語デ話シナサイ」

 そのおじいさん。いろいろと話をしてくれた。

 アメリカ生まれで日本のことは、よく知らない。

 なのに懐かしそうに日本のことを話す。

 ミチルがオーダーしたテリヤキ・バーガーだってアメリカの味。

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 でも、こう言う。

 「イツカ、日本へ帰リタイ。日本ハイイ国デス」

 アメリカ生まれだから、本当は「帰りたい」ではなく

 「行ってみたい」だ。

 国籍もアメリカ。

 でも、こういう

 「ワタシは日本人デス」

 他民族国家アメリカ。

 でも、アングロサクソン系の白人が強い力を持っている。

 太平洋戦争中は日系人だけが収容所に入れられた。

 彼もマンザナールで子供時代を過ごしたという。

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 (写真上、マンザナールの収容所あと)

 それを描いたNHKの大河ドラマ

 ”山河燃ゆ”は、アメリカでは放送されていない。

 敵国であるイタリア、ドイツ系アメリカン人はの収容されていないのに

 日系人だけが収容された。

 そんな厳しい歴史を越えて来た日系人の人たち。

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 「ワタシは日本人だ」

 そのアイデンティティを大切にし、誇りにして生きて来たのだ。

 日系人だけではない。他の国から移住して来た人たちも同じ。

 アメリカは他民族国家。

 それぞれの人種が、それぞれの文化や伝統を大切にし、

 それをアイデンティティとしている。 

 だから、文化や伝統を守ろうとする。

 逆にアメリカ人にはそれがない。建国してまだ200年の国。

 ヨーロッパや日本に比べてまだまだ歴史がない。
 
 だから、伝統や文化の面で海外に憧れる。

 日本の歌舞伎や能。ヨーロッパの家具や食事。

 ミチルは気づく。自分が、高見沢ミチルたるものは何か?

 「Who are you ?」

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 「私は誰? ワタシは何者? 

 アメリカ人にはなれない。やはり私は日本人なの?

 でも、日本のことは・・・何も・・・知らない・・」

(つづく)

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ミチル/「青い青い空」以前の物語(1)LAの日本人中学生 [ミチル/青い青い空以前の物語]

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 「青い青い空」の主人校の1人。ミチル。

 父の仕事の関係で、中学時代はアメリカに住んでいた。

 最初は英語で苦労した、いろんなイジメも受けた

 でも、生まれついても負けず嫌い、必死で英語を勉強。

 ネイティブな生徒にも負けない、英語力をつける。

 成績もアメリカ人に負けない。

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 そんなミチルはもともと洋楽が好き、日本の歌は聴かない。

 感覚的で、少しマニアックなものが趣味。

 友達から「何でそんな歌、聴いているの?」と良く言われた。

 好きなのはピンクフロイド。

 そしてジョン・レノン。

 あと、ヨーロッパ映画ばかり見ている。

 スタンリーキューブリックの作品。お気に入り。

 例えばこれ=>http://www.youtube.com/watch?v=40Xc-9YeWE4

 アメリカの文化にも詳しい。クラスメートとも話が合う。

 が、あるとき訊かれた。

 「ミチル。日本のことを教えて。ティ・セレモニー(茶道)ってどんなの?」
 
 日本のこと。何も知らなかった。

 やがて、ミチルはアイデンティティの壁に突き当たる。

 東洋人で日本人で、英語は完璧。

 でも、日本のことは何も知らない。

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 アメリカで生活はしているが、顔はアジア人。

 あなたは誰?

 「Who are you ?」

 日本で生活していれば、

 自分が日本人であることを感じること。

 あまりない。両親がいて、友達がいて。

 自分が何人だ。白人だ黒人だ黄色人種だという話は他人事。

 でも、アメリカにいると、自分が何者であるか?

 嫌が上にも思い知らされる。 

 そして、自分が白人ではなく、ブロンドでもなく、アメリカ人ではないこと

 痛感する。

 「私は誰なの? やはり日本人なの? 

 でも、日本のことは何も知らない」

 ミチルは自問自答した。

 そんなある日。

 日本食レストランで、日系2世のおじいさんに会った・・。

 (つづく)

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