「青い青い空」はオーケストラ? [LAの映画祭参加]
書家であり、ミュージシャンであるS先生。
「青い青い空」を見て、以前こんな感想をくれた。
「この映画は三重奏、四重奏になっているんだなあ。
映画というより音楽に近いんだよ」
これを指摘してくれたのは、この先生しかいない。
でも、それは狙っていたので、とても嬉しかった。
分かってくれる人がいて、感激。
そう、「青い青い空」は物語でありながら、
ジャズやクラッシックのような形態を取っている。
通常、映画というのは理屈によって作られて行く。
主人公を視点として、起承転結の展開があり、
階段を登るようにエンディングに進む。
だが、「青い青い空」は少し違う構成だ。
そのせいか?よく「誰が主人公ですか?」と訊かれた。
が、必ず「5人が主人公です」と答え。この言い方にこだわった。
そう。「青い青い空」は従来の映画とは違う
音楽のスタイルを持ち込んだのだ。
例えれば、オーケストラ。
真子がピアノ。みさとがバイオリン。
三美子がピッコロ。トン子がクラリネット。ミチルがサックス。
卓也がトランペット。八代先生がドラム。
あるときは真子のピアノが主旋律を弾くが、
別の楽章では、みさとのバイオリンが主となる。
ときには、ピアノとサックスの掛け合い。
そして、思いもかけないところで、
三美子によるピッコロの独奏。
さらには松坂慶子さん演じるオカンによる、ハープが入り
長門裕之さん演じる和尚の、コントラバスが参加。
より魅力的なアンサンブルとなる。
それが足し算ではなく、かけ算になり、曲を広げて行く。
掛け合うことで、うねりが起こり、喜びや悲しみが増幅されるのだ。
ジャズやロックライブ。基本の曲を守りながら、ある部分でアドリブが入り
ピアノとトランペットが掛け合い。盛り上がる場面がある。
それを映画でやりたかったのだ。
象徴的なのが映画の後半戦頭の「書と音楽のコラボ」シーン
音楽に乗せて書道練習をするシーン。まさにオーケストラ。
そんな意味で「青い青い空」は
音楽的!と指摘してくれたS先生の言葉。
二ヒヒ!と喜んだものだ。
さて、そんな作品。LAではどう見られるのか?
会場の外では開場を待つ人たち、どんどん増えていた。
(つづく)