ミチル/「青い青い空」以前の物語(1)アイデンティティ [秘密シリーズ]
「青い青い空」の主人校の1人。ミチル。
父の仕事の関係で、中学時代はアメリカに住んでいた。
最初は英語で苦労した、いろんなイジメも受けた
でも、生まれついても負けず嫌い、必死で英語を勉強。
ネイティブな生徒にも負けない、英語力をつける。
成績もアメリカ人に負けない。
そんなミチルはもともと洋楽が好き、日本の歌は聴かない。
感覚的で、少しマニアックなものが趣味。
友達から「何でそんな歌、聴いているの?」と良く言われた。
好きなのはピンクフロイド。そしてジョン・レノン。
あと、ヨーロッパ映画ばかり見ている。
スタンリーキューブリックの作品。お気に入り。
例えばこれ=>http://www.youtube.com/watch?v=40Xc-9YeWE4
アメリカの文化にも詳しい。クラスメートとも話が合う。
が、あるとき訊かれた。
「ミチル。日本のことを教えて。ティ・セレモニー(茶道)ってどんなの?」
日本のこと。何も知らなかった。
やがて、ミチルはアイデンティティの壁に突き当たる。
東洋人で日本人で、英語は完璧。
でも、日本のことは何も知らない。
アメリカで生活はしているが、顔はアジア人。
あなたは誰?
「Who are you ?」
日本で生活していれば、自分が日本人であることを感じること。
あまりない。両親がいて、友達がいて。
自分が何人だ。白人だ黒人だ黄色人種だという話は他人事。
でも、アメリカにいると、自分が何者であるか?
嫌が上にも思い知らされる。
そして、自分が白人ではなく、ブロンドでもなく、アメリカ人ではないこと
痛感する。
「私は誰なの? やはり日本人なの? でも、日本のことは何も知らない」
ミチルは自問自答した。
そんなある日。日本食レストランで、日系2世のおじいさんに会った・・。
(つづく)
八代先生、誕生秘話(4ー終)波岡一喜 [秘密シリーズ]
僕がよく知る役者さん。ピッタリではないか!
なぜ、思いつかなかったのか!
そう。前作「ストロベリーフィールズ」に出てもらった
波岡一喜君である!
皆を引っ張って行く、強引で、乱暴で、ときどき3枚目だけど、心優しい教師。
まさに、僕のイメージする八代先生は彼だ!
「ストロベリーフィールズ」の撮影中の、様々なエピソードを思い出す。
確信する。波やんだ! 彼しかいない!
八代先生=波岡一喜のイメージでシナリオを再開。
ファーストネームは波やんからもらって、「一喜」=>「和樹」。
八代和樹とした。
そして、波岡君をイメージ。彼がもし教師になったら・・
さらに彼の武勇伝(?)を思い出しながら書く。
と、一気に書き上げてしまった。
波やんなら、頑な真子も、暴走しがちなみさとも、心閉ざした三美子も
引っ張って行ける! シナリオ第1稿が完成。
それが今から4年前。2007年の春のことである。
つづきは、またいずれ!
タグ:波岡一喜
八代先生、誕生秘話(3)あの俳優だ! [秘密シリーズ]
ナイーブな八代祐司キャラでは
文句の多い真子やみさと。引っ張って行くことができなかった。
シナリオを書いていても、
三美子もミチルも。言うことを聞かない。
八代先生を信頼しない。
ナイーブな犯罪者では、子供たちを引っ張ること出来ないのだ。
で、八代先生キャラを考え直した。
子供たちを引っ張るには
強引で、多少乱暴、
ときどき3枚目だけど、心優しき教師。
そんなキャラではないか?
俳優でいうと誰だろう?
なかなか、思い着かなかった。
カッコいいだけの俳優。マッチョなだけの役者
たくさんいるが、それは違う。
誰かいないか・・・・・
全く思いつかない・・。
誰か・・誰か・・
いたぁーーーーーーーーーーーー!
(つづく)
タグ:波岡一喜
八代先生、誕生秘話(2)映画「理由」の犯人? [秘密シリーズ]
大学を出たばかりの先生では無理だと思えた。
学校という狭い世界で勉強して来ただけの教師では、今の生徒を導くことはできない。
エリートではなく。優等生でもない。
オタクも駄目。
むしろ、はみ出し者で、危ない奴かも?
そこで思いついたのは、犯罪ギリギリのことをしていた悩める若者。
それが一転、教師となるという設定。
で、思い出したのが、数年前に僕が参加させてもらった映画。
大林宣彦監督の「理由」。
物語の犯人、八代祐司。
ナイーブで繊細。アーティステックなキャラクターだ。
まず、そのキャラクターで物語を作ってみよう。
名前をもらって八代先生とした。
そのイメージでシナリオを書き進めた。
でも、筆は進まず(パソコンだけど)物語が進まなかった・・。
(つづく)
タグ:波岡一喜
八代先生誕生、秘話(1)金八先生では駄目? [秘密シリーズ]
波岡一喜君。八代先生をお願いすることになったきっかけ。
もう一度、お話したい。
今回の「青い青い空」の物語を考えたとき。
僕がよく知る「子供たち」をモデルにした。
本当にいい子たちで、何とか、それぞれの夢が実現してほしいと応援した。
女優を目指す子。漫画家を夢見る子。アーティストになりたい子。
でも、現実の壁は厳しく。皆、夢破れて行った。
その子たちの分身が物語の中で、「書道」という分野に挑戦。
何を掴み、成長していくストーリーにしたい。
では、指導をする先生はどんな人物であるべきか?
以前にも少し書いたが、
ここ=>http://takafumiota08.blog.so-net.ne.jp/2010-07-12
混迷の現代を切り抜けて行けるのは
もはや、70年代の青春ものの先生タイプではなく
といって、北野広大先生でも、坂本金八先生でもないと思えた。
どんなタイプの先生なら、あの子たちに書道を教えられるのか?
励まし、応援してやれるのか?
(つづく)
卓也とミチルを繋いだアーティスト [秘密シリーズ]
卓也(冨田佳輔)はロックオタクで、
スプリングスティーンやストーンズのファン。
(冨田君はそれらアーティストのCDを本当に毎日聴いて勉強した!)
父親が楽器メーカーに勤めていて、自身はエレキギターをやっている。
将来はアメリカに留学したいと思っているので、
帰国子女のミチルにあれこれ質問したことから、
話をするようになる。家が近所なので、帰り道が同じというのもある。
ミチルは「ストーンズを聴いて喜んでいるのは子供」と思っている。
が、アメリカ時代の話をすると、
他のクラスメートは「自慢?うざい!」と言うのに対して
卓也は喜んで聞くので、彼とはそれなりに話をする。特に恋心はない。
という表面には出てこない設定にも、いろいろと音楽が絡む。
ミチルの好きなピンクフロイドの名作「ウォール」の1曲も
「青い青い空」のテーマに関連する内容だ。
「青い青い空」とピンクフロイド [秘密シリーズ]
僕の作品には、音楽がよく関わってくる。
今回の「青い青い空」でも
ローリング・ストーンズ、
ボブ・ディラン、マイケル・ジャクソン、
そして、ブルース・スプリングスティーン
物語にも、いろいろと音楽が関わる。
八代先生(波岡一喜)の青春時代はスプリングスティーンの
「ボビージーン」「ボーントウラン」のイメージ。
ミチル(平沢いずみ)はピンクフロイドとジョンレノンが好きという設定。
(その平沢が映画「ノルウェーの森」に出ているのは嬉しい)
袴田先生(袴田吉彦)もピンクフロイドが好きと言う設定。
いつも化学準備室でCDを聴いている。
それがきっけで、2人はよく話をするようになった。
(つづく)
真子が書いた葉っぱ文字 [秘密シリーズ]
写真上。
浜松城公園ロケ
真子(相葉香凛)が葉っぱに書いた文字。
なかなか、可愛い。
このシーン実はハイビジョンカメラではなく
一眼レフカメラEOSで撮影している。
通常のカメラではない味がある映像となった。
(つづく)
コロッケ [秘密シリーズ]
写真上。
浜松版の予告編でも使ったし
舞台挨拶のときも、見せた。
でも、このブログで紹介してなかった。
真子(相葉香凛)ががんばったこと。
とっても、良く分かる一枚。
「コロッケが嫌いになりました・・」
という相葉。
とても、可愛かった。
根性がある子。
必ず、ブレイクするぜよ。
タグ:相葉香凛
ハマコー先生はなぜ、書道を嫌うのか?(下) [秘密シリーズ]
高校の選択科目。芸術の3つ。
「美術」「音楽」「書道」の中で、もっとも不人気なのが「書道」。
東京では、「書道」を誰も選択していないという学校もある。
また、「書道部」がない学校も多い。
取材すると、東京で書道を専任で教える教師は1桁しかいない。
最大で9人ということ。東京23区でたったそれだけなのだ。
それくらいに書道は人気がない。
部活をするより、勉強をさせたい学校側とすれば、
そんな学科や部活はなくしてしまいたい。
野球部をなくそうという学校もあるくらいだ。
人気のない書道部をなくすのは、誰も反対しない。
そんなことでハマコー先生、書道部を廃部にしたのだ。
特に書道嫌いという訳ではなく、もっとも受験に不必要な部活と判断した。
ハマコー先生的には
「部活より、生徒は受験に邁進するようになってほしい」
だから、彼にとって、書道部を再開した八代先生は、許せない存在。
子供たちを惑わせる「悪魔」のような奴に思えたのである。
ハマコー先生にはハマコー先生なりの正義があり、哲学があるのだ。
そこが彼が単なる悪役ではないところ。
「親の希望を叶えたい。子供らの将来を大切にしたい」という思いがある。
それが「青い青い空」の物語背景だ。
今回の物語は、東京、大阪のみならず、地方の学校事情を取材。
直接、先生方から、父兄から、話を聞き
それらをベースに物語の設定を作った。
質問を頂いたこ〜めぃさん。
いかがですかな?