「太陽娘と海」を探して(7)夢 [太陽娘と海]
この通り。日が暮れてから夜、出演者の17歳・尋美を連れて買い物に行った道でもある。
一緒にコンビ二に行った・・・。
当時、尋美はまだ表参道で、バイトをしながらタレント業をしていた。
お小遣いも少ないだろうと、コンビニでお菓子や団扇を買って上げた。
安い物だったのに、大喜び。
帰り道で、こんな話をしてくれた。
「・・・・・・私・・・本当は・・・・歌手になりたいんですよ・・・」
いつも冗談ばかりいっていた子が、まじめに夢を語ってくれた。
1年と数ヵ月後、その夢が叶う。でも、その直前に彼女は人生を終える。
葬儀にも出席した。会場には僕が「太陽娘」のときに撮った写真が飾られていた。
命日には毎年、墓参りをする。
その尋美と2人で歩いたのが、この道。
なのに、その思い出が見つからない。
一緒に行ったコンビニ。潰れていたのかなくなっていた・・・。
というより、通りにコンビニがなくなっていた。
しかし、一番の思い出の場所がまだある。宿舎として泊まったアパートだ。
(つづく)
1998年の春物語 続きを再開 [太陽娘と海]
今年はいろんな10周年だったので、このブログでもそのことを書いた。
が、未だに完結していないものもあり、気になっている。
約1名は「続きは、いつだ!」と気にしてくれていたと思われ、申し訳ない。
次なる戦いが始まる前に、10年前の思い出を綴っておく・・・。
(これが初めのエピソード=>http://takafumiota08.blog.so-net.ne.jp/2009-04-15-4)
(つづく)
「太陽娘と海」を探して/最終章(5)衣料品店の記憶? [太陽娘と海]
薬屋の記憶ーー撮影中はロケ弁が続く。「太陽娘」のときは、昼も夜も弁当。朝はおにぎりとサンドウッッチ。確実に野菜が不足する。ビタミンが足りなくなる。おまけにハードワーク。
唇が切れてきたり、舌に小さなできものが出来たりする。
疲労も溜まって来る。スタッフは全員同じ部屋。プライベートな時間もない。そんなことは全然平気なのだが、ビタミン不足は如実に現れる。
サラダを食べる機会もない。宿舎では調理する時間もない。で、考えた。ハイシーLとチョコラBBを買って来よう。
このときの経験が生き、その後は撮影時に必ずこの2つのビタミン剤を携帯する。このあと監督作品となる「風の娘たち」から「ストロベリーフィールズ」まで。今も続けている。
で、いつもサブマリンドッグに行く途中に、薬屋があることを思い出す。宿舎から歩いて5分ほどだろう。
買って来たビタミン剤。スタッフにも配った。そんなこと。完全に忘れていたが、薬屋を見て急に思い出した。
衣料品店も同じ。当時、履いていたGパン。膝が破れていた。日に日に開いて行く。ガムテープで張り合わせた。
そこに「モーニング娘。」とマジックで書く。それを見た裕ちゃん。「言うてくれたら、サインするのにぃ!」と笑っていた。
ロケに出るとき。いつも車窓から見える衣料店。朝早いので、閉まっている。「夕方帰ってきたときに、行けばGパン。買えるかな・・」とか考える。
でも、近所に銀行はなく。当時はコンビニで現金を下ろせない。手持ちの現金は大切にせねば・・先日も出演者の1人に団扇と飲み物とか買った。皆、10代。僕は貧しくても30代。業界でも先輩。そのくらいのことせねば・・。
けど、その子にはこう言われる。「どうせ、太田さんはお金ないと思って、遠慮したんだ!」見抜かれていた・・・。
毎朝、その店を見て「どうしようか?」考えていた。その衣料品店があった! これも完璧に忘れていた記憶。 ただ、間違いにも気づく。宿舎から出てまっすぐ行くと海。と信じ込んでいた。
けど、現実はその衣料品店の角を曲がって、直進すると海だ。記憶とは本当に当てにならないもの。ということは宿舎別の場所? いや、これは確かだ。
薬屋と衣料品店がある。ここから歩いて5分の距離に宿舎があるはず。車を止めて、歩いて探すことにした!
(あと少しで完結なのに、10周年記念の年に終われなかった・・・来年につづく)
「太陽娘と海」を探して・最終章(6)思い出の道 [太陽娘と海]
これの続きー>http://takafumiota08.blog.so-net.ne.jp/2008-12-30
車を通り沿いの止めて、同じく「太陽娘と海」のスタッフであったSさんとその通りを歩いた。
10年前に2週間も過ごした町。覚えているものがあるはずだ。
しかし、10年前は1998年。さまざまな物が変わり、僕らの記憶も風化している。
通りを歩いても、思い出すものがなかなかない。
先に車から見た古本屋。この通りには3軒あった。
でも、どの店で「エバンゲリオン」の漫画を買ったのか? 分からない。
その漫画を出演者の一人、中学生だった明日香に上げたのだが・・・・その場所も確定できない。
記憶とは、こんなにあやふやなものなのか? 悲しくなる。
思い出の中では、明確にあの頃の映像が浮かぶのに・・・同じ場所でそれが見つからない。
宿舎となったアパートの風呂が狭くて、スタッフは近所の風呂屋に行った。
その風呂屋も発見できない。もう、つぶれてしまったのか?
そしてこの通り。日が暮れてから夜、
出演者の17歳・尋美を連れて買い物に行った道でもある・・・・。
(つづく)
タグ:太陽娘と海
「太陽娘と海」を探して/最終章(4)薬屋の記憶? [太陽娘と海]
手がかり。もう一度、確認。宿舎はアパート。地味な色。全面に螺旋階段がある。向かいは民家。家前には広いスペースがあり、そこには松の木が何本も植えられている。
そのスペースにロケ車。二台ほど駐車させてもらった。通りの中では、違和感のある日本家屋。
しかし、先に走ったときに、そんな家は1軒もなかった。もう、立て替えてビルになっているのか? 何といっても10年前の話だ。
そう思いながら、車を走らせる。右前方で目に入った店。薬屋! 完璧に忘れていた10年前の記憶が蘇る。
「そうだ。あの薬屋。行ったことがある!」
さらに、反対側。衣料品店。
「ここも知っている! 毎朝。宿舎を出発したあと、必ず見つめた店だ!」
(つづく)
「太陽娘と海」を探して/最終章(3)ファミレス発見! [太陽娘と海]
目的の**町に入る。たぶん、これであろうと思える2車線の道路を車で走る。と、間もなく、運転する友人がこう言った。
「左側に見えるファミレス。撮影初日の夜に入った店ですよ!」
そういわれれば、初日の夕食だけは外食だった。その日の夜に僕と製作部が打ち合わせをして、翌日から全て弁当にしたのだ。
スタッフ、出演者全員で入ったあの店。製作部は「1000円以内のものをオーダーしてください。あとは自己負担です」とか言っていたのを思い出す。(ファミレスで千円以内のものはあまりないのに・・)
フアミレスと、宿舎の位置関係はよく分からない。が、夕食を食べたということは、宿舎はこの近所ということ。車を直進。風呂屋が見つかれば、全ての位置は明確になる!
が、なかなか風呂屋が見つからない。あれから10年。すでに潰れている可能性もある。
そこで「エバンゲリオン」を買った古本屋。出演者が通ったコンビニも視野に入れて、友人が右。僕が左を重点的にチェック。スピードを落として走る。
と、左前方に古本屋! 明日香の本を買った店だ!
(写真上はUターンしたときに撮影したので、古本屋は右側に見える)
よーし、この道に間違いない。しかし。その後、コンビニも、宿舎も見つからないまま、**町は終わってしまう。
道は大きな道路と交わり。そこまで。見逃したか? それとも違う道か? とにかく、Uターン。もう一度チェックだ。
果たして、宿舎はまだ存在するのか? そして10年前の想い出と対面することが、できるのだろうか?
(つづく)
「左側に見えるファミレス。撮影初日の夜に入った店ですよ!」
そういわれれば、初日の夕食だけは外食だった。その日の夜に僕と製作部が打ち合わせをして、翌日から全て弁当にしたのだ。
スタッフ、出演者全員で入ったあの店。製作部は「1000円以内のものをオーダーしてください。あとは自己負担です」とか言っていたのを思い出す。(ファミレスで千円以内のものはあまりないのに・・)
フアミレスと、宿舎の位置関係はよく分からない。が、夕食を食べたということは、宿舎はこの近所ということ。車を直進。風呂屋が見つかれば、全ての位置は明確になる!
が、なかなか風呂屋が見つからない。あれから10年。すでに潰れている可能性もある。
そこで「エバンゲリオン」を買った古本屋。出演者が通ったコンビニも視野に入れて、友人が右。僕が左を重点的にチェック。スピードを落として走る。
と、左前方に古本屋! 明日香の本を買った店だ!
(写真上はUターンしたときに撮影したので、古本屋は右側に見える)
よーし、この道に間違いない。しかし。その後、コンビニも、宿舎も見つからないまま、**町は終わってしまう。
道は大きな道路と交わり。そこまで。見逃したか? それとも違う道か? とにかく、Uターン。もう一度チェックだ。
果たして、宿舎はまだ存在するのか? そして10年前の想い出と対面することが、できるのだろうか?
(つづく)
「太陽娘と海」を探して/最終章(2)手がかり [太陽娘と海]
撮影から10年ー想い出ロケ地ツアーに同行してくれた友人。宿舎のあった場所の町名を覚えていたので、とくにかくそのエリアまで行く。
でも、**町といっても広い。手がかりになるものを思い出してみる。
宿舎は当時、新築されたばかりのアパート(マンション?)。
(賃貸に出される前に、2部屋を2週間だけ借りる契約をした。2DKの部屋2つ。スタッフ用と俳優用。個人向けの物件なので、バスルームは各部屋に1つしかない)
そのためスタッフはよく、近所の風呂屋に行った。
(アパートの前の道を左に直進、左側。だったと記憶する)
アパート前の道は2車線。両側にいくつも店がある。
大きなビルはなく、古くからの商店、せいぜい2階建ての店舗。
そんな中に、モーニングたちが毎晩のように行ったコンビニがある。
僕も出演者の1人の付き添いで、買い物に行った。
(途中、その子が自分の夢を語ってくれた。想い出の場所)
コンビニはアパートを出て、左。まっすぐ行って右側。
同じ方向に、古本屋もある。
(「エバンゲリオン」が好きな明日香のために、コミック第2巻を買った店だ)
そのどれかが見つかれば、宿舎の場所も特定できる!
(つづく)
「太陽娘と海」を探して/最終章(1)想い出の場所 [太陽娘と海]
次の目的地は、撮影時に寝泊まりした宿舎。
しかし、記憶が曖昧。
「私の記憶が正しければ・・・」と古い番組のように思い出す。宿舎を出て、前の道をまっすぐに行くと歩道橋があり、その向こうが海。
記憶力には自信があった。
が、全然違った。10年前に2週間、毎日、サブマリンバスに通った道なのに、なぜ、覚えていないか?
やはり、僕自身が、車を運転しなかったのが原因?
車中でもロブスターのこととか、その日撮影するモーニングの素顔コーナーを考えていたせいか? 道を把握出来ていなかったのかも。
幸い、想い出ロケ地ツアーに同行してくれた友人が、町名を記憶していたので、そちらに行ってみる。
果たして、10年前の想い出は見つかるのだろうか?
(つづく)
タグ:太陽娘と海
新「太陽娘と海」を探して!/次なる場所へ [太陽娘と海]
サブマリンバスを、後にする・・。
トンネルを逆に潜り、湘南海岸に戻る。
ロケ場所。バス。と来ると次は、あそこだ・・。
このコース。1日の撮影が終わると、毎日走った。
この日も、同じ道を、同じ場所に向かって走る・・。
(つづく)
新「太陽娘と海」を探して!/想い出の欠片 [太陽娘と海]
向こう側の岩場に、何だか黄色いものが見える。
黄色・・サブマリンバスと同じ、黄色・・
10年前には毎日来ていた場所だが、あのときは1度もあちら側には行かなかった。
行ってみると、黄色い目印のような柱。
でも、そこに懐かしの文字・・・。アルファベットは欠けているが、明らかに。
「サブマリン・ドッグ」
消えてしまった想い出の店の名前。
トレードマークも同じだ。
サブマリンバス。あまりにも、昔からなかったかのような状況。
ひとつだけ、想い出を形として見つけられたこと。嬉しい・・。
その黄色の柱。あの頃、僕らの撮影もずっとこの場所から見守っていたのだろう。
そして、今もバスがあった丘の上を、見つめている・・。
(つづく)