「青い青い空」を何度も見てしまう理由(3) [秘密シリーズ]
今回、LAの旅を通して、その理由が分かった。
川崎のFM放送。ゲストで出してもらったときのこと。
パーソナリティは俳優さんで、映画について超詳しい。
映画「理由」では、ご一緒させて頂いた。
印象に残った質問がある。
「太田監督の演出ってどんなふうなんですか?
演技経験の少ない若い子を使って、撮影するのって大変じゃないですか?」
その通りだ。ベテラン俳優なら何も言わなくても
いい芝居をしてくれるが、新人や経験のない子は学芸会になりがち。
「例えば、いい芝居になるまで、何度も何度もやらせる?」
厳しい監督だと、そのパターンだ。
追いつめて、追いつめて、怒って、怒鳴って芝居をさせる。
でも、僕は、だいたい1〜2回でOKを出す。
そのパターンではない。現場で怒鳴ったことは一度もない。
(写真上、USCのスエットを着ている。20年前に買ったもの。
20年後に初めて着た!)
「じゃあ、何テイクも撮っておいて、
あとでいいところを編集で使う?」
これもあり、フランスのクロード・ルルーシェもこのパターン。
ハリウッドでも、このやり方はよく使う。
でも、これも違う。テイク数はそんな多くはない。
だいたい、1パターンのみ。
「じゃあ。現場ではどうやって、演出してるんですか?」
んーーー、例えば、俳優に
「今、前のシーンではみさとと喧嘩したよね。どんな気持ち?」
「悲しい」
そうだよね? じゃあ、その気持ちでやってみて?
そんな感じ。そういうとパーソナリティさん。
「なるほどね〜。だから、あの自然な感じが出たんだなあ〜」
そう言われて、僕自身が納得。
確かに、監督という人たちは明確なイメージを持っていて
それを俳優に演じさせようとする。
自分のイメージ通りになるまで、繰り返し撮ったりする。
でも、40歳を越えたおっさんが、10代の子に「ここはこんな気持ちで演じてくれ」
といっても、それは40歳のイメージ。
それを押し付けるから、嘘の10代になってしまうのだ。
だから、いつも自由にやってもらうのだが、
それが今回。僕の思う何十倍もうまく行ったのは
そして、何度も見たい!と思う映画になったのは
若き俳優たちの存在があったのだ・・。
(つづく)