映画「空気人形」 素晴らしかった。 [映画感想]
(これから見ようと思っている方。ぜひ、見たあとにこのページをお読み下さい)
予告編を見たとき、予感がした。それも「誰も知らない」の監督だ。
主役に「復讐者に憐みを」のぺ・ドゥナ・・・・・・やられたという感じ。
予感は見事に的中。素敵な作品だった。
オープニング。まだ、タイトルが出る前の風景。赤茶けたトタン板のアパート。
物語がまだ始まっていない、そのシーンでもう涙が溢れそうになる。
ぺ・ドゥナが船に乗るシーン・・・もの凄い。
撮影現場でその場にいた人たちも、
あそこまで凄いシーンになると、想像しなかったに違いない。
「リンダ・リンダ・リンダ」の文化祭前夜の場面でも、そうだった。
ぺ・ドゥナは1人で何かを始めると、自分の世界を作り上げてしまう。
その彼女に、この役を演じさせた監督のセンスが凄い。
そして、オダギリジョーの場面が素晴らしい。
これほどまでに切ない「おかえりなさい」「ただいま」
「いってらっしゃい」「いってきます」があっただろうか?
人は皆、代用品。でも、自分ならではの意味を求める。
しかし、ほとんどは「燃えるゴミ」として終わってしまう・・。
「燃えないゴミ」になる空気人形と同じ。
人が生きる意味を空気人形という素材で描く。その着想が素晴らしい!
登場人物は皆、代替え品ではない自分を探し、生きようとする。
でも、それを見つけられる者はいない。
劇中にポスターで登場するトリフォーの「大人は分かってくれない」にも似た空虚な思い。
海の中で振り向いた少年の気持ち。
だとしても、燃えないゴミに出される空気人形として命尽きるとも・・、
タンポポの胞子のように、飛び立ち、どこかで花を咲かせ、誰かに希望を与えるはず・・。
そう物語は告げている。
「誰も知らない」もそうだったけど、
この監督の作品。いつもレンガで顔面を何度も殴られたような感じ。
3日ほど立ち直れない・・。
今は「仁義なき戦い」のテーマを聴くと、泣きそうになる・・。
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