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K−20 怪人二十面相伝(下)ビギンズ [映画感想]

 
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 「カリオストロの城」のラスト。ルパンはクラリスを抱きしめようとして、自分を押さえる。金城武は、松たか子を抱きしめるがすぐに放す。どちらも、住む世界が違うもの同士。悲しい別れが待っている。
 繰り返すが、パクったとか、真似したとかいうのではない。「カリオストロ」や「さらば愛しきルパン」「天空の城ラピュタ」等のオマージュとし、見事に実写の世界で再現し、別のドラマとして作り上げたのである。その着眼点が見事。想像もしなかった世界観である。
 
 そしてエンディング。これも「バットマン ビギンズ」。物語が終わってから「K−20」とタイトルが出るのも、ここ2作の「バットマン」と同じ。
 ルパンを二十面相に。その造形をバットマンに。カリオストロ公国を帝都に。見事な置き換えが成功して、冒険物語を成立させたのである。

 ただ、それなら二十面相にする意味。あまりないような気もする。もともと彼は美術品を狙う怪盗(映画の中でもそうなっている)破壊兵器を狙ったりしない。権力者になりたいタイプの悪役ではない。二十面相でないキャラクターにした方がよかったのではないか? そこだけが引っかかる。
 でも、これは多分、企画を通すためではないか? 本来はオリジナルストーリーにすればいいのだけど、それでは企画が通りにくい。

 で、「怪人二十面相」を映画にするという建前でゴーサインを引き出し。「カリオストロ」の実写版を作った。そういう政治的なテクニックではないか?と考える。
 いずれにしろ、日本を舞台にしては作るのが難しい「冒険活劇」。それを見事に日本で作り上げた1本となっている。

(この項、了)




 
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