11月11日、「1」が4つ並ぶ日・・・。(6)菊千代の旗! [映画「ストロベリーフィールズ」]
「七人の侍」の1場面、三船敏郎演じる菊千代。
屋根の上に、旗を立てるシーンがある
風にはためく旗が、胸を打つ。
文化会館の前に立てかけた看板。その旗のように思えた・・・。
「故郷・田辺市で映画を撮る!」
「子供たちと、その親に大切なことを伝える映画を作る!」
そう決めてから、資金集めに走り回り・・・・5年。
本当にいろんなことがあった・・・。さまざまなトラブル、妨害、裏切り、破たん・・・。
もうダメかもしれない・・何度も、そう感じた・・・。
でも、諦められず、「殺されてもやる!」と思い走り続けた。
多くの人々の応援で映画は完成。6年目のことだった・・。
映画「ストロベリーフィールズ」。田辺市を皮切りに全国各地で公開。
公開が全て終わったとき、再び田辺市で凱旋上映をすることになった。
それも学校の先生方からの、ラブコールで上映。
「親と子」「教師と生徒」が一緒に見て、語り合うべき映画!
そう言ってくれた。まさにそれが、僕の映画作りのテーマだった。
それを理解してくれた人たちが、故郷での凱旋上映を企画してくれた。
こんな・・嬉しいことは・・・ない・・・。
頂いた機会。大切に使わせてもらる。
もう一度伝えよう!子供たちに、親たちに、「ストロベリーフィールズ」を通じて大切なこと。
凱旋上映の看板を見上げて、そう思った。
空は曇り、雨が振っていたが、心の中は晴れていた・・。
(第2部へ つづく=>https://blog.so-net.ne.jp/MyPage/blog/article/edit/input?id=15949578)
同じ思い出をブログに書いている子。いました=>http://ameblo.jp/4609/page-1.html#main
11月11日、「1」が4つ並ぶ日・・・。(5)上映当日の朝 [映画「ストロベリーフィールズ」]
今年2009年11月11日(昨日)の東京は雨だった。
同じく、3年前の2006年11月11日の田辺市も雨。僕は早めに会場へ行った。
紀南文化会館。大ホール。1224席もある巨大なところだ。
ここで、僕が監督した「ストロベリーフィールズ」の凱旋上映が行われる。
講演、上映までにはまだまだ時間があるが、準備をお手伝いをしようと考えた。
入口の掲示板には、「ストロベリーフィールズ」上映会と書かれている。
ついでに「太田監督の講演会」とある・・・。
やはり、本当にやるのか・・・。と、そのときは思った。
何か手違いで上映だけになれば、気が楽なのに・・と当時は思ったもの。
でも、ここまでくればやるしかない!
関係者の方々と合流!
「ストロベリー」の撮影で、ボランティア・スタッフとして参加していた大前君も来てくれた。
皆で上映会の看板を作り、それを文化会館の表へ出した!
(つづく)
11月11日、「1」が4つ並ぶ日・・・。(4)応援に涙! [映画「ストロベリーフィールズ」]
凱旋上映。それが今からちょうど3年前の11月11日だったのである。
2つの不安。1つ目は今となっては笑われしまう。
「監督が人前で長時間講演をするのを、不安に思ったなんてウソでしょう?」
そう言われそうだ。
先月も2つのイベントで講演をさせて頂いた。
いつも、時間オーバーでしゃべりまくっているので、講演が不安だったといっても
誰も信じてくれない・・。でも、50分は始めてだったので、結構、緊張した。
問題は2つ目。1000人以上入れる大ホール。
そこにどのくらいのお客さんが来てくれるか?
「親子」で「教師と生徒」が一緒にみる映画界。ほんとに素敵な企画だ。
より多くの方に来て頂きたい。
その「ストロベリーフィールズ」凱旋上映当日まで、多くの方が宣伝に走り回ってくれていた。
依頼を頂いた先生も、自らラジオ出演までしてくれる。
そして、多くの高校や中学校の廊下に映画のポスターやチラシが貼り出してくれたのである!
「ストロベリー」のパンフレットや新聞記事。
いろんなものが学校という場所に、バンバンと張り出してくれたのだ。
上映前日に田辺市に行き、それを見たとき、驚きと共に、物凄い感動に襲われた。
こんな多くの人が、先生が、生徒が、「ストロベリーフィールズ」の凱旋上映を応援してくれている・・・。
(つづく)
11月11日、「1」が4つ並ぶ日・・・。(3)凱旋上映! [映画「ストロベリーフィールズ」]
不安なこと。2つだけあった・・。
1つ目は、僕の講演。50分もの長時間・・・1人で多くの観客の前で話をするというもの。
「僕なんかに・・・できるだろうか?」
それと、すでに田辺市の映画館ではロングランを続けたのち、公開は終わっている。
何カ月も前のこと。今さら、1日だけの再上映をしても、来てくれるお客さんはいるだろうか?
時代のサイクルは早い。もう、「ストロベリー」のことなんて忘れているのではないか?
せっかく、「親と子」で「教師と生徒」で見る会をしてくれても、
お客が来てくれないと、さびしいし、申し訳ない。
おまけに、僕の講演なんてあると、余計にお客が逃げてしまうだろう。
でも、「ストロベリーフィールズ」をもう一度、故郷田辺市で上映できること。
それも東京や大阪の公開が終えてからの上映。まさに凱旋上映できること。
とても、うれしい!そんな気持ちの方が圧倒的に大きく、同意させて頂いた。
話を持って来てくれた先生はすぐに組合の会議で提案。
「ストロベリーフィールズ」の上映会は、関係者の全員一致で決定した。
ただ、僕の心配は続く。会場は千人以上も客席のある紀南文化会館の大ホール。
その上、春の劇場公開で物凄い数の人がすでに見ている映画だ。
果たして、何人の人が来てくれるのだろうか?
(つづく)
11月11日、「1」が4つ並ぶ日・・・。(2)親と子で見る映画 [映画「ストロベリーフィールズ」]
今回の僕が監督する「書道♡ガールズ」。その前作が「ストロベリーフィールズ」だ。
2006年の春に地元・和歌山県田辺市で公開。大ヒットした。
県内、3館で上映。その後、東京、大阪、名古屋、札幌、千葉、福井と
日本各地で公開。多くの人が見てくれた。
特に地元では、撮影時から大フィーバーだったので、
映画館始まって以来の動員を記録!
全国の公開が終わったあと。
地元・田辺市の高校の先生から、こんな手紙を頂いた。
「太田監督が作られた『ストロベリーフィールズ」。
本当に素敵な映画でした。
友達同士の絆。親子の絆。とても感動的できな作品。
それも我が故郷・田辺を舞台に撮影された作品。
本当にうれしかったです。
映画館で3回ほど見せてもらい、感じることがありました。
これは親と子。あるいは教師と生徒が一緒に見て、
そのあとに語り合うべき映画だと思えたのです。
我々教師が所属している、教職員の組合があります。年に1度、大きなイベントをするのですが、
そこで『ストロベリーフィールズ』の上映を提案したいと考えています。
そこで1人でも多くの親子に、そして教師と生徒に見てもらいたいです。
つきまして、映画上映の前に監督さんの講演もお願いしたいです。
ご返事。お待ちしております」
監督として、こんな嬉しい話はない!!!
何より僕のテーマは「親と子に伝えるべき大切なこと」だ。
そのテーマ通りに、「親と子」で「ストロベリーフィールズ」を見る会を
開催してくれるというのである。
何度も挫折しそうになった映画作りだったが、
最後まであきらめないでよかった・・と痛感した。
ただ、2つばかり・・・・不安があった・・・・・。
(つづく)
11月11日、「1」が4つ並ぶ日・・・。(1)序章 [映画「ストロベリーフィールズ」]
一昨日、和歌山県、田辺市から、宅配便が届いた。
ダンボール箱を開けると、いっぱいのミカンだった。
先生。今年も、ありがとうございます・・・・。
このミカン。太田組スタッフで分け合います・・・。
今日は、11月11日。
「1」が4つ、並ぶ日。
あの日、来た手紙。こう書かれていた。
「1が並んだその日から、もう一度スタートしましょう!」
涙が零れ落ちた・・・
感動。そして・・・・言葉にできない・・・心が震えた・・・1日・・・。
2006年11月11日。一生、忘れられない日と・・・なった・・・。
今回の映画にまで繋がる、感動の物語・・・。
書かせてほしい・・・。
(つづく)
谷村美月イン特別企画ドラマ [映画「ストロベリーフィールズ」]
ここしばらく続いたア・ハード・デイズ・ナイト。
昨日でようやく落ち着いた。また、すぐに次の戦いが始まるのだが、とりあえず一息。仕事自体も大変だったが、ネットとの戦いが一番大変だった・・。
夜。そのネットが使えないので、久々にテレビを付ける。『さよならがいえなくて』という特別企画のドラマに、谷村美月が出ていた。
僕が脚本&監督を担当した『ストロベリーフィールズ』(ブログの最後に撮影日記のアドレスあり)に出演してもらった女優さんだ。
当時は15歳の高校生だったが、今はすっかり大人。
女子大生といってもいいくらい。でも、撮影からは4年。子供たちは大人になって当然。僕はどんどんと老けて行くという訳だ。
思い出すことがある。『ストロベリーフィールズ』のシナリオを書いたとき。谷村が演じてくれたマキが物語の「要」だと感じた。通常は主人公が一番個性的な存在として書くのだが、このときは変形パターンを選んだ。
古い例でいうと、赤塚不二夫の漫画『モーレツ!ア太郎』主人公はア太郎少年。だが、子分のデコっ八の方が強い個性を発揮。物語を盛り上げた。
『宇宙大作戦』ならMr.スポック。
こちらも主人公のカーク船長以上に個性的で、人気者となる。もし、Mr.スポックが出ていなければ、あのシリーズがあそこまで大人気になったかどうか?というほど、重要な存在。
マキも同じ存在。女の子版・石橋正次をイメージした。もちろん、『飛び出せ!青春』のときの石橋正次だ。それと矢吹丈。いずれもギラギラとした不良少年のタイプ。
物語の年代が昭和40年代ということもあり、そんなキャラが映えると考えた。
そんなタイプの子供。今ではすっかりいなくなっている。生命力に溢れ、行動的。感情的ですぐ怒るが、涙もろい。そんなキャラクターが映画を見る10代に感銘を与えるのではないか?と考えた。
しかし、それを昭和40年代と同じ、「少年」として設定すると、リアリティがなくなるだろう。僕の世代を境に後の世代ほど、草食系が増えている。そこで女の子版の石橋正次、矢吹丈で行くことにした。
だが、キャスティングが大変。
単なる不良少女ではない。『スケバン刑事』の麻宮サキではない。『金八先生』の三原順子でもない。女の子版・石橋正次なのだ。
そんなとき見た映画が『カナリア』それに出ていた女の子。生命力に溢れていた。天才少女だと思えた。
「・・ああ、この子だーーーーーーーー! この子ならできる!!!マキだ!」
谷村美月、14歳だった。そんな谷村が演じたマキ。大人気となる。最後の別れのシーン。谷村の芝居にスタッフが皆、隠れて泣いていた。撮影現場でスタッフが涙を流すなんてことはまずない。
映画というのは、ストーリーがあって、芝居があって、編集があって、音楽がかかって、初めて泣けるのが普通。それが撮影現場で冷静でいるべきスタッフが涙する。谷村の実力を示すエピソードだった。
その後、谷村は大ブレイクする。『ストロベリー』の評判ではなく、彼女の実力が認められたのだ。映画に、テレビに大活躍。今では谷村を見ないシーズンはない。
谷村美月だけではない。
実は『ストロベリー』に出演した4人の女の子。その後、全員がブレイク。佐津川愛美も、芳賀優里亜も、東亜優も、さらには男の子の波岡一喜も大人気となった。今では全員が主役クラス!!
こちらも残念ながら『ストロベリー』がきっかけではない。皆、もともと、大いなる可能性を秘めた子たちだっただけだ。
シナリオを書くとき、ライターはキャラクターを作る。でも、魅力的なキャラを作れば作るほど、それを演じる俳優を探すのが大変になる。よくあるキャラにすると、キャスティングはしやすい。が、物語が平たんになりがち・・。
そんな意味で、谷村美月という天才少女と出会えたことで、マキという個性的なキャラを成立させることができた。昨夜のドラマを見ながら、そんなことを思い出す・・・。
(つづく)
もうひとつのブログ、60万件突破! [映画「ストロベリーフィールズ」]
僕が書いた、もうひとつのブログ。
「映画ストロベリーフィールズ製作日記」
そちらは以前、製作進行に合わせてオンタイムで連載。好評だったので、再放送(?)連載中だ。
現在も人気で1日1000件アクセス。つい先日は、1日で2000件!!
その総数が数日前。とうとう、60万件を超えた!
今は9月。ちょうど4年前の今月がクランクイン。
3年前の9月が・・東京公開・・。
そんなに時間が経っているのに、未だに読んでくれる人がいるのは感激。
「映画作り」や「撮影現場」。「演出とはどういうものか?」等に興味のある方
現在連載中のエピソード、面白く読んでもらえると思う。
よければ覗いてみてほしい。
「ストロベリー」日記=>http://t-ota.blog.so-net.ne.jp/
「24」ならぬ、12時間連続ブログ更新?(下) [映画「ストロベリーフィールズ」]
で、12月31日から、「ストロベリーフィールズ」製作日記を大量更新した。
いつもはだいたい午前1時から、1時間ごとに3回が基本(秋以降は1回)。それを午前1時から朝の7時頃まで、7回ほど更新をしてみた。
このSo-netのブログはタイマーセットが可能なので、設定さえしておけばOKだ。
そんなことを3日ほど続ける。アクセス数が日頃の倍! まあ、単純に更新が多いからだけど、昨日は2000件突破!
で、考えたのが、ドラマ「24」マラソンではないが、24時間連続・更新はどうか?
準備が凄く大変なので、12時間連続で「12」でやってみる。先ほど、それが完了。本日の午前1時にスタート。1時間に1回更新され、午後1時まで。
12話分が順にアップされて行く。
ま、これで特に大きなメリットがある訳ではない。読む方も大変かもしれない。ここしばらく更新が遅かった分、取り戻したような気分だけ。でも、何か、チャンレンジしたような気分?
もし、深夜に何時間もブログを読む方がいれば、ガンガン更新される映画日記をおもしろがってくれるかも?
このブログをお読みの方も、見てもらえると幸い。映画監督という人が、撮影に何を考え、どんな方法論や演出で、撮影を進めるのか? がよく分かるはず。
一般的な映画監督の手法ではなく、太田組式演出なのだが、撮影現場を監督の目線から見たエッセイになっている。
こちら=>http://t-ota.blog.so-net.ne.jp/
初めて読む人ならこちらから!=>http://t-ota.blog.so-net.ne.jp/2008-08-18-1
(この項、了)
「24」ならぬ、12時間連続ブログ更新?(中) [映画「ストロベリーフィールズ」]
以前、ある新聞社のHPで連載していたブログで、僕の監督作品「ストロベリーフィールズ」の製作日記である。
企画スタートから公開までを綴ったもの。その再掲載を一昨年の11月より始めたが、かなりな量あって、なかなか最後まで行かない。
原稿はすでにあるので、入力し、アップするだけだが、これがなかなか面倒。撮影中に書いたものとかは、忙しくてバタバタと書いている。
読み返すと何がいいたいのか?分からないものもある。一応、補足したり、表現を直したりはする。
そして連載時は、あとで撮影中のエピソードを書いたりして、時間が前後している。それを全部、時間順にして、再掲載している。
しかし、昨年の夏より、例のドキュメンタリー番組で大忙し! ディレクターのみならず、構成も、編集も、Pの仕事までやっていた。
終わってからも、いろいろとあって、昨年秋からは1日1話更新になっていた。今も読んでくれている「ストロベリー」ファンの方々もいるのに、毎日小出し。ずっと申し訳なく思っていた。
それが正月休み。考えると(考えなくても)皆、お休み! 意外に一般の方は退屈しているのではないか? テレビもつまらなし、ネットでも・・と思っているのではないか?
(つづく)