続・奈佐健臣さんとの出会い(5)会議室で撮影はできない! [キャスト]
2005年9月5日
死神は単なる悪役ではない。
そのことは散々書いてきた。
今回の映画『ストロベリーフィールズ』の世界を、
成り立たす重要な存在。
死神がダメだと、全てが壊れてしまい、
感動も伝えることもできない。
黒澤組のスタッフ。テレビドラマの時代劇でこう言われた。
「黒澤映画のような、迫力ある馬の走りを撮りたい!」
そのスタッフさん。激怒したそうだ。
「馬ひとつに黒澤さんが、どれだけの年月をかけ勉強し、
どう撮れば迫力ある走りが撮れるか?
助監督時代から研究してきたんだ。
それを安易にテレビで、真似できる訳がないだろう!」
その通り。何事もいきなりはできない。
死神も同じ。
年月をかけている。
『ストロベリーフィールズ』のシナリオを書いたあと。
ホラードラマを監督するチャンスがあった。
その原作の1本に『死神』という話があり、それを選ぶ。
前哨戦である。
ところが、あの西洋風の死神を成立させることは、
本当に大変。衣裳を見つけるだけで難航。
いろいろと探してもらって、最も近い中世ヨーロッパの宗教関係の衣裳を発見。
「あとは簡単だ!」
と思えたが、実際にそれを着て俳優さんに動いてもらうと、
いろんな問題が見つかる・・・。
机の上で考えた通りにはいかない。
「会議室で考えていては、映画は作れない」
と痛感した!
<つづく>
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