「太陽娘と海」から10年/渚サンド? [太陽娘と海]
写真上は渚が考案した渚サンド(なぎさんど)。
まあ、単にロブスターが付いているだけのサンドウッチ。
その奮闘を描くエピソード。異常に記憶に残っている。
というのは、小道具としてロブスターを調達するのが大変だったから・・。
「湘南ロケで海も近いので、現地に行ってからでも大丈夫だろう・・・」
と制作部は事前に、ロブスターを用意せずに出発。
ところが、現場近くで、ロブスターを売っている店が1軒もなかったのだ!
東京まで戻って買いに行く、時間的な余裕もない。
撮影は早朝から日暮れまで。それからは翌日の準備。深夜までかかる。
皆、1人*役状態で、手の空いている者もいない。
当時はまだパソコンも普及しておらず、「ネットで調べて・・」ということもできない。
僕も相談を受けたが、何も思いつかない。
「渚サンド」のエピソード撮影日がどんどん近づいてくる!
「代わりにエビにしようか? カニにしようか?」
とも考えたが、映画スタッフというのは最後の最後まで努力する。
そして、いよいよ、明日が「渚サンド」の撮影という前夜。
制作部さんが笑顔で宿舎に帰ってきた。
「太田さん! 見つかりましたよ! ロブスター!」
「えーーーー凄い。どこで手に入ったんですか?」
「いやーー灯台下暗しとはこのことですね!」
「早く、教えてくださいよ!」
「海沿いにファミレスが何軒もありますよね?」
「ええ。撮影初日の飯はファミレスだったし!」
「その中に、レッドロブスターという店があったんです!」
「あーーーーーーーーーーーーーー!」
言われみれば確かに!
毎朝、その店の前を通って、サブマリンバス(本当はサブマリン・ドッグ。
でも、ホット・ドッグの方もそういう名前なので、ロケ地の方はそう呼ぶ)に向かう。
車の窓から「ロブスター」「ロブスター」
と考えながら移動していたのに、全く気づかなかった。
探し物が店名になっているのに!
制作部さん。その店で分けてもらい、無事に撮影となった。
が、それでは終わらず、このあとにまだ「恐怖のロブスター事件」が起こる。
でも、それはまた別の機会に!
(つづく)