「告白」とある青春映画(1) [映画感想]
「告白」は本当に凄い映画だった。
比べて、とても対照的な映画がある。
昨年の今頃に見た青春もの。
評判が悪いので期待していなかったが、友人が関わっていたので見た。
そんなときは好意的に見るのだが、評判以上に酷かった。
多額の製作費がかかって、テレビでも大宣伝している作品なのに
何も伝わって来ない。
若手の人気俳優が何人も、出ているのに全く魅力がなく、
ドラマが他人事に見える。
悲しみも、痛みも、喜びも伝わって来ない。
蝋人形が台詞を話すような映画。
友人に聞くと、監督も、脚本家も、プロデュサーも、誰1人。
作品への「愛」がなかったらしい。
企画会議で製作が決まった。ライターを雇う。
時間がないので、1ヶ月で書かせた(通常は3ヶ月以上)
シナリオが完成。ロケ地が決まり、キャスティングが済んでから、監督が雇われた。
(通常は監督が最初に選ばれ、シナリオ直しやキャスティングをする)
そして、短期間で、バタバタと撮影したという。
だから監督は、主人公、物語、ロケ地。
いずれに対しても、思い入れを持てなかったらしい。
「単なるお仕事と、考えていたんだろうな・・」
と友人は語った・・・。
(つづく)
タグ:告白
映画「告白」 [映画感想]
編集が終わり、少しだけ余裕ができた。
本当に久々に映画を見た。
「告白」
凄い映画だった。
オープニングからエンディングまで、ずっとクライマックス!
というような、もの凄いテンションで進む作品。
上映中、ずっと金槌で殴られ続けるようだ。
さすが「嫌われ松子」の監督。凄いの一言に尽きる。
感動するとか、泣けるとかいう部類の映画ではない。
見終わってからも、やり切れなさと悲しさを引きずる作品だが
もの凄い映画だった。
戦闘機が町を爆撃する場面がある訳もなく、金のかかったカーチェイスがある訳でもない。
ほとんどの場面が教室。
それでも、観客の心を鷲掴みにしてラストまで連れて行く。
この迫力とパワーは何なのか?
ここしばらく、考えていたことがダブった。
(つづく)
タグ:告白
イーストウッド監督作「インビクタス」 [映画感想]
その昔、山田洋次監督は1年に2本(3本の年も!男はつらいよ」を撮っていた。
でも、それは物凄く大変なこと。映画は1年に1本でも大変なのだ。
なのに、アメリカでそれをやってしまった監督がいる。クリント・イーストウッドだ。
昨年は「チェンジリング」「グラン・トリノ」と2本も公開。
その2本ともが名作という凄さ。なのに、今年も早々に新作が来た!
僕が監督した「ストロベリーフィールズ」は撮影までに5年かかった。
「書道♡ガールズ」は3年かかっている。
僕が今回の作品を完成させるまでに、あと1本くらいイーストウッドの映画が公開されそうな気さえする。
そんな彼の新作が「インビクタス」。
今までとは違ったトーンの作品だが、こんなカラーの作品も撮れるんだなあ。
いろいろと勉強になる。
よくできていたが、個人的には「チェンジリング」のような重い作品が好き。
でも、ここ3作は全て繋がるテーマがあり、それをアメリカ人のイーストウッドが掲げること。
素晴らしいと思う。
タグ:インビクタス
マイケル・ジャックソン「This is it!」(6ー終) [映画感想]
だが、そのイメージをスタッフが理解し、実現できたときに、
感動のステージとなるのだ。
88年に見たあのライブも、同じ様なリハが繰り返されて完成されたのだろう。
そんなマイケルの葛藤と苦悩。消耗して行く姿が痛々しい。
だが、全身全霊でイメージを伝えようとする姿。感動を覚えた。
オーケストラの指揮者も、舞台演劇の演出家も、映画監督も、ミュージシャンも同じだ。
目に見えない自分だけが持つイメージを形にする難しさ。
でも、マイケルは自分を押し通し、イメージを伝え続ける。
それがアーティスト。それがクリエーター。
その姿が胸を打つ。
映画終了後。場内から拍手が起こった。僕も手を叩いた。
本物のアーティスト・マイケル・ジャクソンに、心から賞賛を送りたい。
感動のステージとなるのだ。
88年に見たあのライブも、同じ様なリハが繰り返されて完成されたのだろう。
そんなマイケルの葛藤と苦悩。消耗して行く姿が痛々しい。
だが、全身全霊でイメージを伝えようとする姿。感動を覚えた。
オーケストラの指揮者も、舞台演劇の演出家も、映画監督も、ミュージシャンも同じだ。
目に見えない自分だけが持つイメージを形にする難しさ。
でも、マイケルは自分を押し通し、イメージを伝え続ける。
それがアーティスト。それがクリエーター。
その姿が胸を打つ。
映画終了後。場内から拍手が起こった。僕も手を叩いた。
本物のアーティスト・マイケル・ジャクソンに、心から賞賛を送りたい。
タグ:マイケル・ジャックソン
マイケル・ジャックソン「This is it!」(5) [映画感想]
ミュージシャンたちに、執拗に自分のイメージを伝えようとする。
キーボード奏者など、マイケルが何を求めているのか?分からず困惑。
ステージディレクターは単なるマイケルのフォロー役。
でも、マイケルの中ではすべてが出来上がっている。
それを言葉だけでは伝えられず、苦悩する。
ライトのタイミング。立ち位置。動き。ダンサーの踊り。こと細かくを指示。
全てを仕切ろうとする。完璧主義者だと思えた。
それが演出家であり、アーティストなのである。
ただ、そのイメージをまわりの人々が理解できないことがある。着いていけないことが多い。
「なぜ、分かってくれない! どうして、理解してくれない」
そんなマイケルの苛立ちが何度も垣間みられる。
(つづく)
タグ:This is it!
マイケル・ジャックソン「This is it!」(4) [映画感想]
以前から思っていた疑問。
マイケル・ジャクソンは本当に自分で作詞や作曲をしているのか?
歌とダンスができるのは分かる。でも、本当はいろんなブレーンがいて、
歌を作りそれを歌わされているだけではないか?
ある種、優秀な操り人形ではないか?そう考えたことがあった。
日本の芸能界でもよくある話。プライベートを隠し、神話化してネームバリューを上げる。
もの凄い才能があるように見せかける。曲も作る。詩も書く。
でも、本当は歌とダンスがうまいだけの、好青年ではないか?
でも、この映画「This is it!」を見て全てが分かった。
彼は本物のアーティスト。その真実の姿が映し出された・・。
(つづく)
マイケル・ジャクソンは本当に自分で作詞や作曲をしているのか?
歌とダンスができるのは分かる。でも、本当はいろんなブレーンがいて、
歌を作りそれを歌わされているだけではないか?
ある種、優秀な操り人形ではないか?そう考えたことがあった。
日本の芸能界でもよくある話。プライベートを隠し、神話化してネームバリューを上げる。
もの凄い才能があるように見せかける。曲も作る。詩も書く。
でも、本当は歌とダンスがうまいだけの、好青年ではないか?
でも、この映画「This is it!」を見て全てが分かった。
彼は本物のアーティスト。その真実の姿が映し出された・・。
(つづく)
マイケル・ジャックソン「This is it!」(3) [映画感想]
マイケル・ジャクソン。1988年のコンサートではひたすら歌い続けた。
何も話さない。歌と歌の間でも1度も、言葉を発しなかった。
ただ、最後に一言、こう言った。
「I LOVE YOU !」
そして、アンコールで「バット」を歌ったあと、今度はこうだ。
「We Love YOU!」
たった、二言! まるで、マイケルがこう言っているかのようだ。
「このコンサートは僕の話ではなく、歌を聴いてほしい。他は必要ないだろ?」
完璧な演奏と歌。そして踊り。コンサートというより、マイケルのミュージカルを見るようだった。
そんなマイケル・ジャクソン。どんなリハーサルをしているのか?
そこにも興味があった。
(つづく)
マイケル・ジャックソン「This is it!」(2) [映画感想]
映画だけでなく、音楽も好きで、よくコンサートも見に行く。
アメリカ留学時代。毎週のようにライブを見ていた。
マイケル・ジャクソンのコンサートも見ている。
アルバム「バッド」のツアーのとき。1988年1月26日
ロサンゼルス。LAスポーツアリーナ。
通常のコンサートというのは、CDで聴くより演奏が下手な場合が多い。
うまさより、ノリが優先される。
なのに、マイケルのときの演奏はCDレベル。いや、ときにはそれ以上。
歌も、踊りも、完全に計算されたもの。
そして2時間ほどのコンサートで、マイケルはほとんどしゃべらなかった。
「みなさん、ようこそ!」とか「楽しんでいってください」とか
何も言わないのだ・・・。
(つづく)
マイケル・ジャックソン「This is it!」(1)アンコール上映 [映画感想]
マイケル・ジャクソンの急死後。急遽製作。2週間限定で公開。
幻のロンドンライブのリハーサル風景、記録した映画である。
その後、ロングランされたが、それでも忙しくて見れなかった。
見た人のほとんどが絶賛! 素晴らしかった。感動した。という。
確かにマイケルの歌とダンスは凄いと思うが、異常に評価が高い。
興味を持ったが公開は終了。これはもうDVDか?
と思っていたら、昨年末にアンコール公開された。
新宿ミラノ座の一番大きな劇場。年末なのに、結構、客が入っている。
リハーサル風景を編集したもの
どんなドキュメンタリーになっているのだろうか?
(つづく)
マイケル・ムーア「キャピタリズム」(下)監督の思い [映画感想]
監督のマイケル・ムーア。映画のナレーションも担当している。
最初は「ゴッドファーザー」のドン・ビトー・コルレオーネの声色を真似たりして
笑いを取るしゃべり方をしている。なのにクライマックスでは、胸を打つスピーチをする。
ジョンFケネディ、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア
彼らのスピーチに負けずとも劣らない感動のスピーチだ。
「アメリカはこのままでいいのか? 何かを始めなければならない!
戦争に負けたドイツや日本ができることを
なぜ、アメリカはできないのか?
一部の金持ちだけが幸せになり、大多数の市民が貧しさに苦しむ」
それは間違っているのでないか?」
そのマイケルムーア監督の「思い」に胸打たれる。
まっすぐに国を見つめ、時代を見据える映画に涙してしまう。
イエローのテープで、ウォール街を包囲する監督。
その姿が涙でかすんだ。映画は技術ではない、やはり「思い」なのだ。