原発事故が題材のシナリオ。書き終えて・・。 [2012年]
今回のシナリオ。かつてない苦しい執筆だった。
いつもはシナリオの霊が降りて来るのを待ち、
何日もパソコンを前に書けずに、ひたすら待つのだが。
書き始めると止まらなくなり。他のことが手が着かなくなる・・
それがいつものパターン
でも、今回は、書き始めてからも苦しい日が続いた。
毎日、主人公のあかねや舞と生活するようなもの。
楽しい日々であっても、やがて訪れる彼女たちの運命を思うと、
書くのが辛い・・
いや、今回は書いたというより、彼女たちの生活を見つめた・・
そんな感じだ。
その日の執筆を終え、
”ああ、明日は地震が起こる・・”
”明日は避難せねばならない””
明日は舞の友達の珠ちゃんが仮設住宅から去って行く・・舞が悲しむだろうな・・”
原発事故のために、崩壊していく子供たちの生活
バラバラになる家族・・。
何もできない僕が、現地で見つめているような気持ち。
自宅では集中できなくて、ネットカフェで執筆したのだが、オープンカフェ。
オウムの逃走犯が潜伏したような店。
書いている内に、涙が溢れて、他の客たちが不思議な顔でこちらを見ている
”こいつもオウムの逃走犯か?”
でも、それどころでなく、あかねや舞のことを考えると、耐え切れなくて、
毎回、涙しながら書き続けた。
それは死ぬと分かっている我が子を見続ける日々のようで、
野球でいえば、絶対に勝てない試合に、強打者相手に珠を投げ続ける
そんな毎日。こんなに長い9回はなかった。
1年かけて勉強した原発事故。
デモのときに出会った福島の人たち。
そして、線量の高い地域に、東京に住む若い子供たち。
今、僕が子供たちにできることは・・・映画を作ることだけ。
映画で多くの人に、哀しみを伝えることしかできない。
原発事故の怖さを伝えることしかできないのだ。
次回作。何としても撮影までたどり着きたい。
必ず”青い青い空”を越える映画になる。
まずは製作費集めだ。
(つづく)
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