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大林宣彦監督からのメッセージ [感想をご紹介!]

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 日本映画界を代表する

 巨匠・大林宣彦監督。

 「青い青い空」の製作スタート時に

 メッセージを頂いていた。

 公開を前に改めて、ご紹介する。

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未来人たちの夢。

賢い古里のあした造りを、 応援します。

           大林宣彦(映画作家)



 この映画の脚本・監督を担当する太田隆文さんは、子供のような人です。若くて経験不足でまだまだ未熟です。でもだから、いつもこどものように一所懸命で、お金が無くてもお腹が減っていても、映画作りのために明るく元気な笑顔で駆け回っています。それはきっと映画の夢を、夢見る力を、彼が子供のように全身で信じ切っているからなのでしょう。

 映画はかつて学校でありました。人間が正しく生きる賢さや、「諍いや戦争など無い穏やかな世界」の美しさなどを、泣いたり、笑ったり、楽しく学べる授業が一杯ありました。世界中の子供たちはみな、この映画の学校の良き生徒となって、「美しい人間」や「賢い社会」を作って生きてゆこうと心に約束したのです。

でも、時が経ち、映画は大人たちによって、金を儲けたり名を売るためのみの、妙ちくりんなものに変わって来ました。あ、映画だけじゃない! 世の中のこと、みんなみんないつの間にやら、“汚れっちまった”ね。

子供のような太田さんが、やっぱり子供のような凧揚げ上手な里の人たちと一諸に、書道という字を描く話の映画を拵えるんだという。それはどういう「夢」や「願い」に充ちた文字なんだろう、とぼくはどきどき、楽しみだ。

凧の里(この里は映画の里でもあり、音楽の里でもあり、僕の大好きな里なのです!)の皆さんはきっと、ウ”ェテランの子供たちなんだな。子供― つまりは未来人であって、古里から生まれるこの映画は、“温故知新”の美しい人間の知恵をこそ伝えてくれるものだろう。

この“汚れっちまった”時代に住むぼくら大人が、賢い未来を創る子供たちの手助けを出来るのだとしたら、何とも誇らしいではないか。この映画の実現を夢見る“ウ”ェテランの子供”の一人として、ぼくも心から応援させて戴きます。





おおばやしの ぶひこ   日本を代表する映画作家。尾道三部作「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」を始め、多くの名作、ヒット作を監督。「あした」「ふたり」「異人たちの夏」「北京的水瓜」。近年では宮部みゆきのベストセラー小説を映画化した「理由」等の話題作を発表している。紫綬褒章、日本映画批評家大賞・監督賞、藤本賞奨励賞、ベルギー国際実験映画祭・審査員特別賞、アメリカ・ファンタスティックサターン賞、ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞他、内外で数々の賞を受賞している。

 




タグ:大林宣彦
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