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藤田朋子さんの役、こうして決めた!(4)涙のメッセージ [キャスト]

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 ハリウッドの本社からテレックスが届く。

 それは「製作中止」という連絡・・。

 数えきれないトラブルとアクシデントが原因だった。

 その知らせを聞いた夜。

 日本人スタッフも、外国人スタッフも、皆、抱き合って涙した。

 あれほど険悪な関係だった両者が抱き合って涙した。

 「最後までやりたかった・・この作品を完成させたかった・・」

 誰もがそう呟く。夜空に叫ぶ者さえいた。

 映画人はアメリカ人でも、日本人でも同じ。

 方法論や習慣が違っても、「最後まで諦めずに素晴らしい作品を作りたい」

 という思いは同じなのだ。

 皆、朝まで、泣きながら酒を酌み交わした。

 翌朝、東京にいる藤田朋子から

 10枚を超えるファックスが宿舎に送られてきた・・・。

 それは英語で書かれたメッセージだった。

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 「製作中止は悲しいけど、本当に辛いけど

 この作品に私を選んでくれて、ありがとう。

 そして皆さんと出会えたこと。本当にうれしかった。

 いつか、また、どこかで一緒に仕事ができること。

 楽しみにしています」

 思いを延々と、手書きで、マジックで、大きな文字で書き綴っていた。

 その10枚を超えるファックス。宿舎の廊下に貼り出され、

 それを読んだスタッフは、また涙した。

 その英語の文章。

 僕が訳して、日本人スタッフに説明した。

 声に出して読むとまた、涙が込み上げる。

 後日、朋子ちゃんに会ったときに聞くと、こう言われた。

 「そのときは悲しくて悲しくて、涙が止まらなくて

 あまり詳しく覚えていないけど、

 とにかく自分の気持ち。みんなに伝えたい。

 悲しい思いと、感謝の思いを伝えなきゃって

 だって、そのときに伝えたなきゃ。機会はもう、ないんだもん・・」

 藤田朋子という女優さん。

 素敵な人だと思った。

 本当に「思い」があり、作品を愛する人だ。

 そんな女優さんと、いつか一諸に作品作りをしたい。

 「思い」がある人と一緒に作品を作ると、いいものが出来る。

 いや、スタッフでも、キャストでも

 「思い」がなければ絶対にいいものは、出来ない。

 そんなことを思いながら、

 16年の歳月が流れる・・・。

 (つづく)


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タグ:藤田朋子
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