空虚な気持ち [お礼参り]
本日も挨拶まわり終え、宿舎に戻る。
いよいよ、明後日には僕も帰京。荷造りをして宅配便で出す。
機材や資料もあって、段ボール箱で3個。あとはバッグを送る。
だが、まだ、何か撮影が終わった実感がない。
本当に東京に戻っていいのか?
という思い。
毎晩、撮影を続けている夢を見るが、実はそちらが現実で
この現実が夢なのかも?
ハッと目が覚めると、「監督。次のシーンのカット割り説明してください」とか
演出部に言われるような気もする。
でも、このホテルに泊まっているのは、僕と製作部スタッフの2人だけだ。
真子も、みさとも、三美子も、トン子も、ミチルも、もういない。
チーフも、カメラマンも、ラインPも、
いつもお腹を空かせていた照明助手君も、いない・・。
もの凄い空虚な気持ちが、心を通り過ぎる。
そして寂しさが、体を包み込む・・。
(つづく)