さよなら、真子。さよなら、みさと。(上) [撮影21日目/道具屋&お寺]
スタートは3年前。2007年。その年にシナリオを書いた。
真子、みさと、三美子、トン子、ミチル。
5人の書道部員キャラを作った。でも、それは紙の上に書かれた文字だけの存在。
でも、その子たちが年月と共に、どんどんと成長して行った。
よく出来たキャラクターは作家の言うことを聞かない。
わがままを言ったり、主張し、暴れだした。
それぞれが個性を持ち、育って行った。
1年に渡った浜松のロケハン。
真子の家はどこ? トン子はどこで練習するの?
三美子が叫ぶ土手はどこ? みさとが自転車を走らせる場所は?
ミチルが書を破る場所は? 卓也がミチルと会うのは?
それらの場所が決まり、俳優たちが決まる。
そこにはもう作り物でない。浜松で生まれ育った真子やみさとたちがいた。
学校で勉強し、お好み焼きに寄り道し、お寺の先生を訪ねる。
映画撮影を超えて、そこには真子たちの世界があった。
この3週間。僕らはその世界を訪ね、真子やみさとの成長を見つめたのだ・・・。
(つづく)